昭和十五年寮歌 弥生の空に 大井徹夫君 作歌・作曲 (1,2,3 了あり) 1. 弥生の空に消え残る 霞に春の絢夢闌けて 首途を祝ふ花吹雪 友情の盃を交しつつ 北斗の光身に享けて 仰ぐ健児の影清し 2. 手稲の山に陽は落ちて 広き蒼空の茜雲 「我立たずんば」の意気あれど 昇天の機を小百合咲く 静けき故郷に憩して 暫し臥竜の夢に見む 3. 春雨煙る並木路に 輪廻の相偲びては 露置く花を愛しみて 遠き思索に逍遙へば 緑の牧場眼に著き 野路は果てなく黄昏れぬ 4. 究理の道は遠くとも 研磨の窓に月匂ふ 白魔曠野に狂ふとも 明日は希望の太陽笑まずや 正義の大道濶歩する 熱血男児ここにあり 5. 光かそけき原始林蔭の 月に散り布く花蓆 エルムの精も踊るてふ 記念祭の歌は谺して 永世を寿ぐ篝火に 歓喜の夜は更けゆきぬ 6. 不壊の智玉を育みて 恵迪ここに早三年 静寂の楡鐘に眼をやれば 見よ東雲は輝けり いざ船出せむ波濤越えて 嗚呼人生の朝ぼらけ