大正十一年度寮歌 起伏知らぬ 牧原東洋男君 作歌 高橋北雄君 作曲 (1,2,3,4,5,6 了あり) 1. 起伏知らぬ運命こそ 時の流転の弧の上を あはれ雪解のましみづに 流れて尽きぬ濁流よ 2. 未知のひろ野のかぎろひて 輝くまでに萠え出でし 若き草木のさゆらぎに 春深き日の逍遙や 3. 澄みて雲なき空と野を かぎりて走る山並に 高き心のをののきは 躍る血潮の真夏日陽よ 4. 銀の香炉にしのび雨 楡の繁みに交らへば 大天地も傾きて 命かなしき秋なれや 5. 夜毎にさゆる窓の星 闇行く橇の鈴の音に 真理の水の人掬 求めてやまぬ瞑想よ 6. 深き安息の夢やすく げに憧憬の地やここに 芸術の霊ぞただよへる 自由の精ぞみなぎれる