大正九年桜星会歌
瓔珞みがく
佐藤一雄君 作歌
置塩奇君 作曲
(1,2,3,4,8 了あり)

1.
瓔珞(ようらく)みがく石狩(いしかり)
(みなもと)(とほ)()ひくれば
原始(げんし)(もり)(くら)くして
雪解(ゆきげ)(いずみ)(たま)()

2.
浜茄子(はまなす)(あか)磯辺(いそべ)にも
鈴蘭(すずらん)(かを)谷間(たにま)にも
愛奴(あいぬ)姿(すがた)(うす)れゆく
蝦夷(えぞ)(むかし)(おも)ふかな

3.
(いま)円山(まるやま)桜花(さくらばな)
歴史(れきし)()りて四十年(しじゅうねん)
()(まな)()先人(せんじん)
()てし(いさお)はいや(さか)

4.
その絢爛(けんらん)花霞(はながすみ)
憧憬(あこが)(つど)四百(よんひゃく)
健児(けんじ)希望(のぞみ)(ふか)ければ
北斗(ほくと)(つよ)黙示(もくし)あり

5.
醜雲(しこくも)()えて(ひと)()
陽光()はうららかに(かがや)けど
(かぜ)名残(なごり)のつきやらで
狂瀾(きょうらん)さわぐ(いま)(いま)

6.
(うしほ)()るる西(にし)(そら)
(つき)(こほ)らむシベリアの
()皇軍(みいくさ)(おも)ひては
()けき(こころ)(おど)らずや

7.
白銀(しろがね)(くる)(うも)()
()みて(ひら)かむわが前途(ゆくて)
はろけき牧場(まき)(うそぶ)けば
(くも)(かげ)はやし(くさ)(なみ)

8.
(おもひ)()めし若人(わこうど)
(くちびる)かたくほほゑみつ
(あお)げば(たか)(そび)()
羊蹄山(ようていざん)(ゆき)(きよ)