昭和十年寮歌
噫妖雲は
川村真君 作歌
荻野辰夫君 作曲
(1,2,3,6 了あり)

1.
(ああ)妖雲(えううん)(くる)へども
(みち)(もと)めし若人(わこうど)()
巍然(ぎぜん)四寮(しれう)(たて)()もり
覚醒(かくせい)(うた)高誦(うた)ふかな

2.
三年(みとせ)(ちぎり)(あさ)からず
爛漫(らんまん)(はる)(あざむ)けど
銀觴(ぎんしやう)口辺(くち)にうつろへば
名残(なごり)(はる)(をし)むべし

3.
(ひつじ)(むれ)()()きて
角笛(つのぶえ)(とほ)くこだましぬ
夏草(なつくさ)(ふか)丘上(をかのへ)
(つき)三更(さんかう)(かげ)()ゆる

4.
不壊(ふゑ)生命(いのち)(かがや)きし
緑葉(みどり)(やうや)紅葉(もみぢ)して
(いま)玲瓏(れいろう)谿谷(けいこく)
(わか)()()寮歌(うた)()ゆる

5.
颯々(さつさつ)(かぜ)(おと)(さむ)
(そり)()孤弦(こげん)(つき)()
(まど)(たたず)多感(たかん)遊子()
今宵󠄁(こよひ)(なに)をか(おも)ふらん

6.
月影(つきかげ)(あは)(にれ)(をか)
記念(きねん)(まつり)(をは)るなり
篝火(かがりび)()きて(われ)(いま)
(しづ)かに宵󠄁(よひ)(うた)はなん