大正十三年度寮歌
茫々はるか
高野芳雄君 作歌
神島辰雄君 作曲
(1,2,3 了あり)

1.
茫々(ばうばう)はるかに(みどり)()えて
石狩(いしかり)原頭(げんとう)()()()えば
高鳴(たかな)りあふるる若人(わこうど)()
ああこの(こころ)(あこが)れの()
曙光(しょくわう)(かがや)黎明(れいめい)()ぐる
(かね)()かばや

2.
真紅(しんく)(ねつ)せる入陽(いりひ)(しず)
黙思(もだし)(あゆ)みを(はこ)夕宵(ゆふべ)
エルムの(しげ)みの(こずゑ)()かして
夕映(ゆふばえ)(なが)るる黄色(こがね)(あや)
生命(いのち)(まど)をば()()(はな)
霊気(れいき)()はずや

3.
地平(ちへい)際涯(はてし)によしや吾等(われら)
感激(おもひ)(しず)めど彼方(かなた)はるかに
思索(しさく)曠野(ひろの)(つき)せぬなれば
石狩(いしかり)河岸(かがん)(とも)(たたず)
野生(やせい)(しら)べの秘奥(おくが)(もと)
真理(まこと)()かん

4.
寒風(かんぷう)(すさ)びて吹雪(ふぶき)()()
楡林(ゆりん)()れたる四寮(しれう)燭光(あかり)
生命(いのち)ぞまたたき青春(せいしゅん)()
(ともしび)(つも)りて永遠(とは)(かがや)
ああ()()かげに(れい)血潮(ちしほ)
()められしかな

5.
(むかし)(しの)べば吾等(われら)(れう)
原始(げんし)茂森(もり)()める自然(しぜん)()
不断(ふだん)船路(ふなぢ)彼岸(ひがん)めがけて
自治(じち)への(あゆ)みは十九星霜(じゅうくせいそう)
自由(じいう)(さかえ)(とも)(かな)でん
平和(へいわ)序曲(じょきょく)