断層帯




沼から分かれる小道を進むと、次第に小さな断層が道を横切り始めた。断層に沿う木 々はなぎ倒され、それは林の奥まで続いている。視線を道の隅にやると電線が地面を 這っているではないか!前方には根こそぎ倒れた電柱が道をふさいでいる。人知を超え た大地の力との衝撃的な遭遇の始まりだ。
切れ切れになって続く道が突然ぷつりと途絶え、目の前には高さ3mはある崖が現れた。 大断層だ。ロープ代わりの電線を頼りに慎重に降りる。降り立った場所は、周囲と比 べて低く溝のようになっている(地溝帯とよばれる)。下から見ると断層は見上げる ほど高い。断層面には、埋設してあったガス管が露出し、道路の面影は傍らに立つ電 柱に残るばかりである。


有珠山について
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(写真 / 高橋 こう子, 文 / 中神 雄一)

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