スケールハイト

等温等密度の大気を考える. スケールハイトは大気の厚さの尺度であり, 大気圧が 1/e (eは自然対数の底. よって 1/e は約0.368) になる高さ として使われることが多い. 一般的にある高さ h の気圧 phが ph/e まで指数関数的に減少する高さをスケールハイト H として 式で表すと, H = RT /mg となる. ただし, m:ある高さ h の空気の平均分子量, R:気体定数, T:気温(単位はK), g:重力加速度である. 高度 h より上では, m, g, T が不変であると仮定すると, 気圧 p の高度分布は p(z) = ph e-(z-h)/H と表される. すなわち高度 z が h+H の場所で, 気圧 p(h+H) は 高度 h の気圧 p(h) の 1/e に減少する. 地球の表面における スケールハイトは地上気温 0°Cとして約 8 km となる. スケールハイトを用いると, 密度や温度の異なる惑星について, 大気の厚さの 比較ができて便利である.

スケールハイトに関連して, 大気がどのくらい惑星に束縛されているかを 表す尺度に, エスケープパラメータ λ がある. エスケープパラメータ は, 惑星からの脱出速度と気体分子運動の「最も 確からしい速さ」との比(あるいは惑星の重力エネルギーと分子の熱運動の エネルギーの比)であり, 値が大きいほど大気が散逸しにくいことを 表す. このエスケープパラメータは 惑星半径 r とスケールハイト H との比にもなっている(λ = r/H). 惑星半径に比べてスケールハイトが小さい時には λ が大きくなり, 大気は惑星にしっかりとらえられているといえる.