「惑星状星雲の起源と進化~残りなく散るぞめでたき桜花ありて世の中はての憂ければ~」 By 神山 湧生
2024年12月22日 (Sun) 13:00-15:00.
形成への寄与というのはガスの由来が主星であるということ。惑星状星雲の電離に関しても表面温度の高い主星の寄与が大きい。球面対象でない惑星状星雲の形態形成には伴星による散乱や質量供給の影響があることもある。
惑星状星雲は遷移的な天体である。後期段階においては白色矮星になり徐々に冷めていく末路をたどるが、原子惑星状星雲段階ではAGB星の頃のように水素核やヘリウム核の燃焼が生じていることもある。AGB星の頃の星周エンベロープの残骸が電離している状態を惑星状星雲と呼び、その段階において中心にある天体の分類上の表現が惑星状星雲中心星である。したがって、惑星状星雲中心星は白色矮星を含む概念だが、同一の概念ではない。
亜鈴状という表現もある。図を参照のこと。
ある温度における波長ごとの相対的な強度の比を考えると、確かに1万Kにおいては可視光に近い波長で最大値を取る。一方でプランク輻射は絶対温度が増加するとシュテファン=ボルツマンの法則に基づいて放射エネルギーも絶対温度の4乗に比例して増加するので、ある波長に注目すれば温度が大きいほど輻射強度も増加する(温度の異なるプランク輻射のグラフが交差することはない)。そのため、10万Kの天体からの輻射よりはるかに大きいというのも正しい。したがって、伴星からの影響も多少はあるかもしれないが、星雲の電離に対する寄与としては取るに足らず、主星からの寄与が大半である。
星雲の幾何学的厚さを表している。Lyaの光学的厚さを考える式では数密度一様を仮定せずdlで積分する形で表されているが、ライマン端での光学的厚さを考える式では一様を仮定して積分後の値Lとして表現されている。星雲中心を貫く軸について考える場合はL=2Rとなる。
観測的事実から言えば、惑星状星雲の可視光スペクトルは輝線が支配的で、中心星からの連続光は弱く、ダストにより十分吸収されていると考えられる。一方で、ダストの熱収差を考える式では幾何的な逆二乗則を考慮しているのみで、内側のダストによる減弱を考慮しておらず、これはダストが可視光に対して完全に光学的に厚いとは主張していない事を表している。実際、ダストの分布は一様ではなく、衝撃破により駆動される質量喪失で一定により外側の領域に多く分布すると考えられている。
ヘリウム核フラッシュは漸近巨星分枝(AGB星)段階で起きる。縮退したC-Oコアに水素燃焼で生成したヘリウムが降り積もることで、爆発的なヘリウム核燃焼が起きる。
電離境界を持たない惑星状星雲が存在するかどうかは未解決問題となっている。一方で、電離境界を持つ惑星状星雲(つまり人類が観測して知っている惑星状星雲)においては、電離質量の10倍程度の分子質量が電離境界の外側に存在することが知られており、これは観測される惑星状星雲においては一般的に中心星の電離能に対し十分な量のガス成分が存在することを示している。
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