あるサーバ管理者の一日・起


〜ハードディスクの交換〜

 勤労感謝の日、故障したハードディスクの交換のためにダメサーバ管理者のM政が登校する。
時間は朝10時前。 朝にめっぽう弱いM政にしては珍しく時間前に来た。

まだ少し時間があるので隣の部屋を覗くとM川君がいた。
彼は時期サーバ管理者として期待されている大型新人である。
すでに新人と言うには失礼なくらい高いスキルの持ち主だ。


M政:やぁ。

M川:おはようございます。

M政:朝早いね。 何か仕事?

M川:M政さんの仕事ぶりを眺めようと思いまして。

M政:そうか。 いろいろトラブるから楽しみにしてて。


 この時点では余裕の発言をするM政。
時間になり、サーバ室の鍵を開けた頃にサブの管理者のT橋(こ)さんが来る。
サブの管理者と言ってもメインの管理者と同時に管理を任されていて、
今から一人で管理できるスキルを充分に持っている。

M政:おはよう。

T橋:おはようございます。

M政:さくっと終わらせて打ち上げをしましょう。(余裕の発言)

T橋:そうですね。



 10:09、作業開始。
まずはサーバのサービスを停止して、データのバックアップを始める。

M政:ついでに /etc/ とかのバックアップもしておこう。

T橋:そうですね。 後で楽できますね。 どこに取りましょうか?

M政:今回は何もしない /home.bk/ の方にしておこうか。

T橋:じゃあ、そうしましょう。


 すでに危険な会話が展開されている。
データのバックアップを終え、サーバのシャットダウンをする。
次はハードディスクの交換だ。


M政:ハードディスクってどうやって取り出すのかな?

T橋:わかりません。 とりあえず筐体を開けてみましょう。



M政:そういえば、どっちのハードディスクを取り替えれば良いんだ?

T橋:取り替えるのはシステムの方でしたよね。

M政:うん。

T橋:じゃあ上の方じゃないですか?

M政:そうだね。 普通は上がシステムだよね。(何を根拠に言っているんだ?)

T橋:間違ってもインストールの段階でわかるから大丈夫ですよ。(おいおい)



M政:とりあえず開けてみたけど、これどうすれば取れるんだろう?

T橋:ここのねじを外せば取れそうですよ。

M政:よし、やってみよう。 ……これだけじゃ取れないね。

T橋:じゃあここのねじも外しましょう。

M政:う〜ん、これでいいのかな? (よくないって)

T橋:大丈夫ですよ。 情報実験のノリでいきましょう。

M政:よし、じゃあ外そう。


 専攻で稼動中のサーバを使って情報実験を開始する二人。
なんとか筐体からハードディスクのケースを取り出すことに成功する。



M政:このケースの蓋はどうやって外すんだろう?

T橋:このへんが怪しいですね。

M政:お、M川君。

M川:順調ですか?

M政:とりあえずケースを取り外すことはできたんだけど、蓋を開けられないんだ。

M川:う〜ん、ここの所をドライバーか何かでこじ開けるのかな?

T橋:やってみましょう。




パキッ




M政:今のやばいんじゃないか?

T橋:見なかった事にしましょう。

M川:いいんですかね?




 ここでM田さん登場。 元メールサーバ管理者だが、
現在も何かとサーバのトラブルシューティングなどに駆り出される不幸な人だ。
今日はメールサーバもいったんサービスを停止して作業をすることになっている。


M政:おはようございます。

M田:T中君(メールサーバの管理者)来てる?

M政:まだ来てません。

M田:ところで、何してるの?

M政:ハードディスクの交換をしようとしているんですが、開け方わかります?

M田:あ、これね、鍵を使うんだよ。

T橋:あ、確かにケースに鍵を差し込む穴が開いてますね。

M田:っていうか、鍵を使ったらそんなふうに ばらさなくていいんだよ。

M政:…なるほど。 で、その蓋はどうやって開けるのですか?

M田:これは、ここの所を…あっ(パキッ)

T橋:あ、壊した。

M田:ちょっと待って。 これすでに壊れかけてたんだけど…

M川:そういえば、さっきT橋さんが…

T橋:いえ、確かに致命傷は与えたかもしれませんが、壊したのはM田さんってことで…



 そんな馬鹿なやり取りをしつつ、ハードディスクの交換を完了。
実は交換するハードディスクを間違えて同じ作業をもう一度している。


その後、壊れたハードディスクは返却するため、データを消去する。
こういう作業は普通最後にするものだが、何も考えないで即座に行ったのが失敗だった。

承に続く


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01/11/27 作成