潮汐力

現在の月は毎年4cmぐらいずつ,地球から遠ざかっている.また,月はほぼ同じ面を地球に向けている(つまり,地球をまわる公転周期と自転周期がほぼ等しい).
なぜ,このようなことが起こるのか?これらはすべて地球と月の潮汐相互作用の結果なのである.


・潮汐相互作用とは?

大きさをもった天体は.外部にある天体の引力によって変形する.この変形を起こす力を起潮力または潮汐力という.外部天体までの距離が天体の大きさに比べて大きいときには,この力は距離の3乗に反比例するので,遠距離の天体の作用は小さい.
地球の場合には月と太陽によって赤道部がふくらみ,わずかにラグビーボール形に変形する.地球の海の干満はこの変形によって起きている.








・なぜ月はいつも同じ面を向けているのか?

月もこの潮汐力によってラグビーボールのように変形してしまう.このような形になってしまうと,ラグビーボールの長軸を地球に向けているのがもっとも安定になる.長軸が月と地球を結ぶ線からずれると,地球に近い出っぱり部分に,より強い地球重力が働いて元に戻す.このため月はいつも長軸方向を地球に向けることになる.つまり,いつでも同じ面を地球に向けることになる.このとき月の公転と自転は同期している.







・なぜ月がは少しずつ遠ざかっているか?

地球は潮汐力によってラグビーボールに変形するが,地球の変形は時間がかかるために,変形したころには自転で変形の向き(ラグビーボールの長軸)と月のある方向がずれてしまう.地球のでっぱりは常に月の進行方向の先の決まった場所にできて,月を振りまわし,半径の大きい軌道にのせてしまう.そして角運動量保存の法則により,月の公転半径が大きくなった反作用として,地球(及び月)の自転は遅くなる.








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Last Updated on 2002.oct.8