二重構造の海

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図1:水温・塩分の垂直断面図
   (1999年9月)
大島慶一朗さん提供

オホーツク海の冬の寒さで、オホーツク海の海水が何度まで冷やせるか計算してみても、 凍り始める前に春になってしまいます。しかし、実際には毎年海氷が生まれています。


このなぞを解くカギはオホーツク海の構造にありました。 オホーツク海の表面50mまでは塩分濃度3.3%の低塩分層があり、 その下の海水の塩分濃度より0.05〜0.1%少なくなっています。 オホーツク海は、日本海や太平洋と違って、 表層は塩分が極端に少なく、下層は濃い二重構造の海 だったのです。


図1はオホーツク海の垂直断面において、塩分濃度と温度が深さによってどのように変化していくかを 表した図です。深さ50m付近で塩分濃度が大きく変化していることが読み取れます。


では、どうして二重構造の海になっているのでしょうか。 シベリア大陸には、大河アムール川があり、大量の雪解け水(真水)をオホーツク海に運びます。 アムール川から流れこんだ大量の真水はオホーツク海の表層に広がって、 塩分の少ない表層水をつくります。また、オホーツク海は、周囲をシベリア大陸、 カムチャッカ半島、千島列島、北海道、カラフトによって囲まれているので、 太平洋や日本海の海水はあまり入りこめません。そのため、 オホーツク海独特の二重構造が壊れにくくなっています。


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Last Updated 2002.Nov.18
by Saeko Mitsuda