最低限 Unix / Linux [II] 【8. 付録:昭和基地における観測】

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昭和基地における観測

ここでは,本日の課題に登場した昭和基地での南極観測について少しだけ紹介します.


歴史

日本の南極観測は古くは1912(明治45)年に, 白瀬矗率いる南極探検隊によって実施された学術探検にまで遡ります. その後, 1957年の国際地球観測年に合わせて派遣された第1次南極地域観測隊によって, 現在の場所に昭和基地が建設され, 日本の越冬観測が始まりました. その後一度中断があったものの, 今日まで毎年交代で観測隊が派遣され, 観測が継続されています. 60年以上に渡り継続して観測を行っている例は世界的にも少なく, 地球環境の変化を捉えるうえで昭和基地での観測は重要なものであると言えます.

Fig. 1 昭和基地管理棟 (2020年12月19日撮影)

行われている観測

昭和基地では様々な観測が行われています. 代表的なものを紹介します.

  • 気象観測
  • 気象庁から派遣された隊員を中心に, 気象の観測が行われています. 気温, 湿度, 気圧, 視程などのリアルタイム地上気象観測, ラジオゾンデを利用した高層気象観測, 大気中のオゾン量の観測や紫外線の強さの観測も行われています.
  • 宙空圏観測
  • 昭和基地はオーロラの発生しやすいオーロラベルトというエリアに位置しています. そのため, 基地開設当初からオーロラの光学観測が行われています. その他にもレーダーを用いた対流圏から成層圏, 中間圏の風速観測や, 電離層の観測が行われています.
  • 地圏観測
  • 基地や周辺の島々に設置したGNSSによる地殻変動の観測や, 地震計による観測, インフラサウンド(周波数20 Hz以下の可聴下音波)を利用した環境観測が行われています. また, 地表が露出している場所では, 岩石の調査の他, 古生物の化石が発見されることもあります.
  • 生物圏観測
  • 基地周辺に生息するペンギンやアザラシの個体数調査の他, 南極に向かう砕氷船の上から海洋の微生物調査なども行われています.

    また, 観測したデータは南極条約に基づき, 誰でも利用できるように公開されています.

    Fig. 2 電離層観測のためのレーダーをブリザード後に点検している様子 (2021年6月20日撮影)



    参考ページ




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    最終更新日: 2023/04/21 杉山 玄己 copyright © 2023 inex