良く「インターネットを介して世界中の PC がつながっている」と言われます. このことは世界中の PC がケーブルで相互に接続されており, その通信規約と して TCP/IP が用いられていることを意味します. しかし世界中の PC がフ ラットに接続されているわけではなく, 大抵の場合 LAN (local area network; ローカルエリアネットワーク)と呼ばれる小さなネットワークがルー タという機器を通して相互に接続し, 全体としては世界に広がる 1 つのネッ トワークを構成しています.
写真 | 説明 |
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ルータ. LAN 同士を接続する機器. ルータの IP アドレス(後述)を特に 「ゲートウェイアドレス」と呼ぶことがある. 写真は林サブネットのルータ. |
インターネットにおける接続の基本は「タライ回し」です. A という PC から B という PC に接続したい場合, A は B の所属する LAN を調べ, もしも B が自分の所属する LAN に居ない場合は, 隣合った LAN をいくつも経由して 相手までたどりつきます.
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相手 (B) が自分 (A) の所属する LAN に居る場合のデータの流れ |
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相手(B) が自分の所属する LAN に居ない場合のデータの流れ. まず LAN1 の中に B がいるかどうかを確かめる. そして次の LAN 2 にいるかどうかを確かめる. 相手が LAN 2 にいないことが分かると, 隣の LAN 3 で同じことを確かめる. LAN 3 で相手を見付けるとようやくデータのやりとりを行うことができる. この際, データのやりとりに LAN 2 を経由することになる. |
抽象的に書くとわかりにくいので具体的な例をみてみましょう. 北大の場合, 各建物毎に LAN が構成されています. 情報実験室は物理配線としては「林サ ブネット」と呼ばれる LAN に属しています. この LAN はルータと呼ばれる 機器を通して北大のキャンパスネットワーク( HINES)に接続し, 北大キャンパ スネットワークは学術情報ネットワーク(SINET)に接続し, 学術情報ネットワー クは... というように細かな LAN が幾重にも組合わさって 1 つのネットワー クが構成されています. 例えば情報実験室から www.goo.ne.jp という PC に 接続する場合, 林サブネットを経由し, 北大キャンパスネットワークを経由し, 学術情報ネットワークを経由し, 商用系のネットワークを経由し, ようやくた どり着くことができます.
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残念なことに北海道と本州を結ぶ学術系のネットワークケーブルは 1 本しか ありません. そのため, その線が切れてしまうと北海道は孤立します. 現に 一昨年には土砂崩れで本州と北海道を結ぶ光ファイバが切れ, 北海道から出れ なくなったことがあります. また, 北海道には学術系のネットワークと商業 系ネットワーク(例えば goo.ne.jp とか)の接続ポイントが存在しませんので, 例えば北海道の企業のホームページを見る場合には, ネットワーク的には東京 を経由することになります.
最終更新日: 2000/11/10(杉山耕一朗) | Copyright © 2000 inex |