あるサーバ管理者の一日・転


〜現実逃避〜

※先に を読んでください。



 突然叫びだしたM政に隣で作業をしていたT橋さんが声をかける。

T橋:どうしたんですか?

M政:…フォーマットしちゃった。

T橋:えっ?

M政:…データ、全部消しちゃった。

T橋さんを含め、その場にいた人が全員凍りついた。



ちょうどそこにS山さんが様子を見に来た。
ただならぬ空気を感じたのか、不審な顔をして尋ねてくる。


S山:? どうしたの?

M政:ハードディスク、間違ってフォーマットしちゃいました。

S山:え? 消しちゃったの?!


表情が一瞬で凍りつき、血の気が引いていくS山さん。
この時の声をM政は未だに憶えている。 っていうか忘れられない。



S山さんを含めた過去のスタッフたちが苦労して築き上げてきたものが
このダメ管理者の軽率な一撃ですべて消滅してしまった瞬間。


S山さんの精神がまるでラ○ュタの崩壊のように崩れてゆく。



M政:あ、でも別の場所に個人データのバックアップは残ってますよ。

S山:あぁ、そうか。 よかった…


"おぉ、崩壊が止まったぞ!"(このネタはもういいか)


S山:おい、頼むぜ。 やめてくれよ、そういうの。


突然M政の肩を揉み出すS山さん。
肩を揉む手に込められた力の強さが彼の受けたショックの大きさを物語っている。



S山:結局、どういう状態なの?

M政:個人情報以外は全て消えました。

M田:そういえば、/etc/ とかのバックアップは取ってないの?

M政:とりましたよ。 /home.bk/ に

M田:じゃあ、それごとフォーマットしちゃったの?

M政:…はい。


そのバックアップを取った動機がただのついでだった事は
今となっては口が裂けても言えないM政。


S山:そうか。 ないものはしょうがないな。
   具体的にどうなったのかリストアップしてよ

M政:えーっと…

○/etc/ の消滅
 ・パスワードが初期パスになる
 ・OTPの設定やり直し
 ・ssh公開鍵が変わる

○/var/ の消滅
 ・log ファイル群の消滅
 ・canna 辞書の消滅
 ・個人で設定した cron (crontab)

○/home/ の消滅
 ・別のバックアップからデータの移動
 ・その後所有者の修正



M政:余計に増えた仕事はこんなもんですかね。

S山:まぁ、こんなもんか。

一同:…………

M政:かなり、被害は甚大ですね…ははは…

一同:ははは…


笑い事ではない。 それはよくわかっている。
しかし、どうしようもなく自嘲的な笑いがこみ上げてくる。



M政:…笑い事じゃないですね…

S山:こんなの笑うしかねぇよ。

M政:……はぁ


本気で現実逃避をしたくなったM政。

結に続く


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01/12/23 作成