Overall Design


  GLIMSの観測器はFig.1に示すとおり,2式の光学観測器と,2式の電磁波動観測器,およびそれらを制御する制御ユニット1式で構成される。 光学観測器は,CMOSセンサーを用いた雷・スプライト観測カメラ (LSI) 2台と,光電子増倍管およびフォトダイオードを用いたフォトメタ (PH) 6台で構成される。 LSIは主に雷・スプライトの発生形態をとらえるのに対し,PHは0.05msの高い時間分解能で絶対発光強度を測定します。これらによって,雷・スプライトの時間・空間変化を精密観測する。 一方,電磁波動観測器は,雷雨放電起源のVLF波動レシーバ (VLFR) 1台と,2台のアンテナ部と1台のエレクトロニクス部で構成する雷放電VHF波動観測器 (VITF) で構成される。 VLFRは,雷放電起源のVLF波動が電離圏でモード変換しISS高度まで伝播するホイッスラー波を観測する。VITFは,約1.5m離れて設置した2台のアンテナによって雷放電励起のVHF波動を受信し, 干渉計として用いることで波動の放射源を特定する。これらの理学観測機器の電源制御,データ取得,イベントトリガ,データ圧縮を行い,上流機器とのコマンド受信,テレメトリ送信, データ転送などのインタフェースを担う機器が,理学機器制御ユニット (SHU) である。

Picture of GLIMS Instruments
Fig.1 JEM-GLIMS観測機器のシステム構成を示す概念図。

  Fig.2は,GLIMS観測機器を地球指向面から撮影した写真である。向かって左から,PHユニット#1,PHユニット#2,LSI,VLFRアンテナ部を示す。 これらの光学観測機器は地心方向を向いていることから,雷・スプライトの天底観測を行い,水平空間分布と時間発展を計測する。 また,VLFRのアンテナは長さ15 cmの微小モノポールアンテナであり,電離圏を貫通し磁気圏を伝播するホイッスラー波を観測する。 Fig.3は,Fig.2とは反対方向から撮影した写真で,向かって左からSHU,VITFエレクトロニクス部を示す。

Picture of GLIMS Instruments   Picture of GLIMS Instruments
Fig.2 JEM-GLIMS観測機器。JEM-GLIMSの地球指向面から撮影した写真。          Fig.3 JEM-GLIMS観測機器。Fig.2と反対方向から撮影した写真。