サケ稚魚の給餌飼育

浜岡荘司さん
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オホーツクタワーの中の水槽を泳ぐサケの稚魚。 生後約4ヵ月、体調6cm、重さ1グラム弱で放流間近である。

○ 紋別港内での給餌飼育

流氷が去った4月。私達はオホーツクタワーに続く岸壁から、冬には 目にしなかった面白いものを海面に見つけました。

それはブイに取り付けられた網に よって囲まれた巨大な生簀(いけす)でした。海面をよく見ると そこにはまだ小さなサケの稚魚が泳いでいました。

浜岡さんをはじめオホーツクタワーの方々が力を入れてきた取り組みの 一つに、この海面の生簀(いけす)を用いたサケ稚魚の給餌飼育が挙げられます。 この取り組みは、サケ稚魚の 回帰率(放流した稚魚が親魚になって帰って来る割合) の向上を目的として紋別港内では約8年間、春先である4月中旬から 5月末までの期間行われてきました。

○ 観測による裏付けと放流

回帰率を高くするためには、

  • 大きくて健康な稚魚を作る
  • 海洋(北洋)に出たときに十分な餌のある時期に放流する
ことが必要です。

近年まで放流のタイミングは経験的に「海水温12°C」になる5月末を目処に 行われて来ました。この際、実際の回帰率は5〜12%との報告があります。

ではこれをオホーツクタワーで得られたデータから検証するとどのような ことが言えるのでしょうか?

5年間の海水温、および、動物プランクトンの季節変動と分布状況から 以下のことが言えます。

  • オホーツクタワー周辺(紋別沖約 1kmの地点)では春先の水塊交替が6月に見られる
  • 水塊交替にともなって寒海性から暖海性の動物プランクトンへの 交替が起こり、やがて、7月には完全に暖海性のものが卓越する
したがって、年にもよるが、オホーツク沿岸域では6月中旬まで沿岸域での サケ稚魚の放流が可能であると言えるのです。

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