クロガシラカレイの種苗生産

地元漁師 大滝克則さん
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ビデオ(概要)
ビデオ(作業)


水槽に浮かぶシオブラシの様子
クロガシラカレイの卵はこれに付着させ、 ふ化まで適切な温度のもとに管理される。

○取り組みの背景

大滝克則さんは漁師を始めて5年になります。これまでカレイの 刺し網漁を やってきましたが、年々漁獲高が減ってきていることを感じていました。

なかでも漁獲の割合の多くを占めるのは クロガシラカレイです。 クロガシラカレイは4月から5月にかけてが産卵の時期にあたります。 実際の漁のなかで完熟の卵が出てくることが多く、大滝さんも 「これを受精させて育てることはできないものか」と考え、3年前に 種苗生産を 始められました。

はじめは自分の家で小さな水槽を用いて試験的にふ化させることに成功 しました。しかし、「その後の水温の管理はどのようにすべきなのか?」、 「餌は何を与えるべきか?」大滝さんは頭を悩ませていました。 結局、十分な知識と環境に恵まれていなかったために、このときの稚魚は 全滅という残念な結果に終ってしまいました。

やがて、現在のオホーツクタワーの方々の協力を得て本格的に種苗生産に とりかかることになります。

◯クロガシラカレイのエサの確保

クロガシラカレイの稚魚はワムシ と呼ばれる動物プランクトンを捕食します。 これをプランクトンネットを用いて海からじかに採取して与えるという ことは難しく、また、ワムシを養殖するとしても、その餌となるクロレラは さらに大きなスペースで育てなければなりません。そこで今年度は 厚岸町の日本栽培漁業センターから提供されたワムシを使い、クロレラは 購入して与えることを考えているそうです。

「今年は一匹でも放流できるところまで育てたい」大滝さんはそう述べ 今年にかける意気込みを語ってくれました。

○クロガシラカレイの卵のふ化

一匹のクロガシラカレイの雌の体から得られる卵の数は約60万粒です。 大滝さんはこれを朝方の漁の際に漁獲してきた中から完熟した雄と雌を 選別し、受精させます。

これをシオブラシと呼ばれる道具に付着させます※。
<※クロガシラカレイの卵は海水に触れると粘着性を持ちます。実際には 水草等に付着し、ふ化までその場所に留まることになります。>

ふ化には重要な条件として「積算温度100°C」ということが言われます。 これは1日1日の温度を加えていってその和が100°Cになるとふ化する というものです※。
<※1日約10°Cだとすると10日でふ化する計算になります。>

ふ化した後は放流する時期まで海洋交流館の水槽で育てます。 3ヵ月かけて体長約30mmまで育てて放流する予定です。



※お詫びと訂正
取材のVTR中では「種苗養殖」と言っていますが、 正しくは「種苗生産」です。



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