■■ 森 羅 万 象 セ ミ ナ ー ■■

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 日 時    話 者   題 目 講演ビデオ 講演資料
03/14(Tue)
16:30-
篠田 太郎 (名大水循環) 湿潤域における大気境界層内の鉛直循環の特徴 VIDEO --
03/01(Thu)
15:00-
関根 康人 (東大新領域) タイタンの水素循環における有機物ヘイズの役割 VIDEO --
10/20(Thu)
11:00-
諸田 智克 (ISAS/JAXA) 衝突率不均質と初期月の進化 VIDEO --
10/04(Thu)
16:30-
吉田 敬 (東北大天文) 超新星元素合成とプレソーラーグレインの同位体比 VIDEO --
09/01(Thu)
16:30-
内本 圭亮 (北大低温研) 高解像度海洋大循環モデルによるオホーツク海のモデリング VIDEO --
07/21(Thu)
17:00-
高橋 芳幸 (北大地惑) 火星大気大循環の数値シミュレーション VIDEO --
07/13(Wed)
16:30-
井田 茂 (東工大地惑) On the formation of the big core planet HD149026b VIDEO --
06/23(Thu)
16:30-
田中 秀和 (北大低温研) ダスト成長による原始惑星系円盤の進化 VIDEO --
06/14(Tue)
16:30-
城野 信一 (名大環境) ダストアグリゲイトはコンドリュールになれるか? VIDEO --

* 本セミナーは Mosir Project によって映像撮影/公開されています.

 
 
日時 : 2006/03/14(Tue) 16:30 - 18:00
場所 : 理学 8 号館 1F, 共用セミナー室(8-1-03)

話者 : 篠田 太郎 (名古屋大学 地球水循環研究センター)
題目 : 湿潤域における大気境界層内の鉛直循環の特徴

地球上における大気境界層は、太陽からの短波放射の影響に よって変化する地表面の影響を、自由大気に伝える役割をもっ ている。これまで海洋上における大気境界層の研究は層積雲 が発達するような大洋の東側(海面水温は高くない領域)を 対象として、雲頂部における放射過程により駆動される循環 場の議論が行われてきた。一方、陸上における大気境界層の 研究は、主に北米大陸などの比較的乾燥した地域と行われて きていた。乾燥した地域においては、大気境界層内の循環は 顕熱(熱)によって駆動され、水蒸気の効果は相対的に小さ いものとされてきた。しかしながら、海面水温が高い熱帯・ 亜熱帯の海洋上や陸面が水田となる湿潤アジア域における大 気境界層内の鉛直循環を考える場合、放射過程や熱による循 環のみで議論を行えるかどうかは疑問がある。本発表では発 表者がこれまで行ってきた亜熱帯高気圧下の海洋上、熱帯海 洋上、そして中国大陸の平野部(畑地・水田)上における大 気境界層内の鉛直循環の構造について観測結果と数値実験の 結果を示し、このような領域における大気境界層内の鉛直循 環に対する「水蒸気」が存在することの役割について紹介し ていきたい。

日時 : 2006/03/01(Wed) 15:00 - 17:00
場所 : 理学 8 号館 1F, 共用セミナー室(8-1-03)

話者 : 関根 康人 (東京大学 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻)
題目 : タイタンの水素循環における有機物ヘイズの役割

タイタンとは、土星系最大の衛星で、窒素を主成分とし数% のメタンを含む分厚い大気を持っている。このタイタンの大気 中では、メタンの光分解反応によって水素原子が大量に生成し ており、この活性な水素原子が大気中でどのように消費される かというプロセスは、大気組成を決定し温室効果を左右する重 要なファクターである。一方、これまでの惑星探査の結果、タ イタンの大気中には全球を覆う濃密な有機物エアロゾルが存在 していることが知られている。本研究では、これまで全く調べ られてこなかった有機物エアロゾルと水素原子との表面反応 (不均一反応)に注目し研究を行った。まず、室内実験により、 水素原子とエアロゾルとの不均一反応は、(a)水素原子がエア ロゾルに付加される付加反応、(b)エアロゾル内の別の水素と 結合し水素分子を生成する反応、(c)エアロゾル内の炭素や窒 素をはぎ取るエッチングの3つのプロセスから成り立っている ことを示した。そして、タイタン大気の温度条件においてそれ ぞれの反応率を求めた。さらに、これらの実験により求められ た反応率をタイタン大気の光化学モデルに組み込むことにより、 エアロゾルが大気全体の物質循環(水素循環)に果たしている 役割を調べた。その結果、エアロゾルの不均一反応は、大気中 の水素原子の主たる消費プロセスであることが分かり、この反 応による効率的な水素原子の消費が、現在の大気組成を維持す るための鍵であることを明らかにした。また、エアロゾルの反 応を考慮した場合の、タイタン大気の安定・不安定性も議論す る。これらの実験データは、カッシーニ・ホイヘンス探査によ るタイタンの新たな観測結果の解釈や詳細な大気進化モデルの 構築に対しても重要な基礎データとなる。

日時 : 2005/10/20(Thu) 11:00 - 12:00
場所 : 理学 8 号館 1F, 共用セミナー室(8-1-03)

話者 : 諸田 智克 (宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部/固体惑星科学研究系)
題目 : 衝突率不均質と初期月の進化 構造

月の重心は幾何中心に比べ約2キロメートル地球方向にずれて いることが知られている.このずれは、表側の地殻厚が裏側より10 キロメートル程度薄いことで説明できる.これまで我々は、衝突率 不均質が月の地殻厚二分性をつくり、更にそれが原因で初期の月は 方向転換を繰り返したというモデルを提案してきた.実際に、衝突 ベースンや重力データから得られている地殻厚マップをみると、こ の仮説を支持しているように見える.一方で、Clementine、Lunar Prospectorのマルチバンド画像やガンマ線分光計などのデータは月 表層の元素組成が不均質であること示しており、月の幾何中心/重 心のずれは、単純な地殻厚の不均質だけでなく、より複雑な密度構 造を反映している可能性が考えられる.そのため、二分性の起源を 理解するためには、まずは表層構造をより正確に把握する必要があ る.月探査周回衛星SELENE に搭載される月面撮像/分光機器 (LISM)は、地形カメラ(TC)、マルチバンドイメージャ(MI)、スペク トルプロファイラ(SP) から成る.それらは、これまでの探査に比 べ約1桁上回る空間解像度で、月全球の光学観測を行う.その結果、 地形や表層の鉱物組成の理解を飛躍的に発展させるだろう.さらに、 蛍光X線、ガンマ線分光計による表層元素組成や、RISEグループに よる重力異常から推定される内部構造と相互参照することで、月の 二分性をより正確に定義できると期待される.

日時 : 2005/10/04(Tue) 16:30 - 18:00
場所 : 低温研 3 階 会議室 (320 号室)

話者 : 吉田 敬 (東北大学大学院理学研究科天文学専攻)
題目 : 超新星元素合成とプレソーラーグレインの同位体比

隕石中にはごく微量ながら太陽系元素存在度とは大きく異 なる同位体組成を持つグレインが存在する.これらグレインの 同位体比は恒星中の元素合成や銀河の化学進化の痕跡を保持し ていると考えられており,これらグレインはプレソーラーグレ インと言われている.プレソーラーグレインの中で28Siの過剰 や Ca 同位体比中に44Tiの痕跡が見られるグレインは超新星起 源と考えられている.そして,超新星起源グレインの同位体比 を超新星元素合成モデルを用いて定量的に再現する試みも行わ れ始めている.しかし,グレインの同位体比や元素組成を再現 するには超新星ejectaの不均一な混合を考慮する必要があり, どのような混合組成がグレインの同位体比を再現しうるかはよ くわかっていない.本研究ではまず大質量星の進化と超新星に おける元素合成過程を解くことで超新星ejectaの元素組成分布 を求める.次に超新星ejectaを元素組成の特徴を基に7層に分 割し,超新星起源グレインの同位体比の特徴や個々のグレイン について複数の同位体比を再現する混合組成を求める.発表で は,超新星起源グレインである個々の SiC type Xと low density graphite について 12C/13C, 14N/15N, 26Al/27Al, 29Si/28Si, 30Si/28Si, 44Ti/48Ti, (17O/16O, 18O/16O) の同 位体比を超新星ejectaの混合物でどの程度まで再現できるかを 示すとともに混合比と混合組成の特徴について述べる.

日時 : 2005/09/01(Thu) 16:30 - 18:00
場所 : 理学 8 号館 1F, 共用セミナー室(8-1-03)

話者 : 内本 圭亮 (北海道大学 低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター)
題目 : 分子雲,水惑星,アストロバイオロジー

我々は海洋大循環モデルを用いて,オホーツク海の循環を再現 し,そのメカニズムを解明することを目指している.モデルは POMベースのモデルで,水平解像度が1/12°,鉛直45層である. このモデルで再現されたオホーツク海の循環の様子を示す.特 に,晩夏から初冬にかけて千島海盆南部に形成される時計回り の渦に焦点をあてて,その形成と宗谷暖流の流量の関係につい ての実験結果を紹介する.

日時 : 2005/07/21(Thu) 17:00 - 19:00
場所 : 工学研究科 材料科学専攻 会議室 526

話者 : 高橋 芳幸 (北海道大学 大学院理学科 地球惑星科学専攻)
題目 : 火星大気大循環の数値シミュレーション

乾燥した希薄な二酸化炭素大気を持つ火星ではダストストームが発生するこ とが知られており、大気の熱構造、循環構造の形成において重要な役割を果 たしている。特に惑星規模ダストストームが発生すると、ダストが火星全球 を覆い温度が数十度も変化することが報告されている。しかしながら、現状 ではどのような条件でダストが地面から大気中に巻き上げられ、ダストストー ムが発生するのかはよくわかっていない。近年の探査機による観測から水平 スケール 100-1000 km 以下の中小規模ダストストームが数多く起こってい ることが知られるようになり、これらの中小規模ダストストームがダストを 大気中に供給する上で重要な役割を果たしていることが示唆されている。ま た、それらの中小規模ダストストームが、惑星規模ダストストーム発生の前 兆現象として捉えられており、中小規模の現象が惑星規模の現象にも影響を 及ぼしていることも示唆されている。このため、火星でのダスト巻き上げ過 程やダストストーム発生過程の理解には、中小規模現象を表現できるほど解 像度の高い全球大気の数値計算が望まれる。本講演では、我々が取り組んで いる高解像度火星大気大循環シミュレーションにおいて用いているモデルと、 そのモデルによるシミュレーション結果を紹介する。

日時 : 2005/06/23(Tue) 16:00 - 18:00
場所 : 理学 8 号館 1F, 共用セミナー室(8-1-03)

話者 : 田中 秀和 (北海道大学 低温科学研究所)
題目 : ダスト成長による原始惑星系円盤の進化

ダストアグリゲイトの付着成長による構造進化過程を明らかにするこ とは、 原始惑星系円盤内における微惑星の形成過程などを考える上で重要で ある。 これまで、2次元の数値シミュレーションに基づいてダストア グリゲイトの 付着成長過程が論じられてきた。しかしながら、2次元でかつ 粒子数が少な いなど、ダストアグリゲイトの成長過程とその構造変化を完全に明ら かにす るためには十分ではない。そこで、我々は多数の粒子からなる 3次元の数値 シミュレーションを行い、ダストアグリゲイトの衝突による構造進化 過程を 明らかにすることを試みている。本発表では、粒子間相互作用モデル の紹介、 先行研究のシミュレーションとの比較、および実際の3次元シミュレーショ ンのデモンストレーションを行い、ダストアグリゲイト衝突の数値シミュレー ションの実際と展望について議論したい。

日時 : 2005/06/14(Thu) 16:45 - 18:00
場所 : 低温研 3 階 会議室 (320 号室)

話者 : 城野 信一 (名古屋大学 )
題目 : ダストアグリゲイトはコンドリュールになれるか?

コンドライト隕石の中にはコンドリュールと呼ばれるmmサイズの 球状粒子が多数発見される. その特徴と量から突発的かつ普遍的 な加熱イベントによってコンドリュールは原始太陽系円盤におい て形成されたはずであるがそのメカニズムは今だ明らかでない.

コンドリュール形成モデルの一つ, 「衝撃波加熱モデル」が昨今 注目を集めている. このモデルでは, コンドリュール前駆体が衝 撃波に突入した際に生じるガスとの摩擦熱で前駆体を熔融させて コンドリュールを作る. コンドリュール前駆体がダスト微粒子の アグリゲイトであったとすると前駆体は衝撃波突入時に破壊され てしまうのではないか?ダストアグリゲイトの力学物性を検討す ることにより, アグリゲイトが破壊されないための条件を考える.

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