■■ 森 羅 万 象 セ ミ ナ ー ■■

目的: 分野を超えた自由な議論の場作り

発表者は異種分野の人々にも納得のゆくよう好きな話題をじっくり語り、 聴衆は各自の興味・知識・哲学に従い突っ込みを入れる。世の中の情勢把 握・未知との遭遇・自身の研究哲学の再確認・(ゆくゆくは)旧来分野の 壁を超えた新しいサイエンスの醸成が目論み。異文化との接触により本当 に進歩が生まれるのか、ある種の実験。

講演希望, 問い合わせ等は sinra-admin@ep.sci.hokudai.ac.jp まで.

2007 年度世話人 ::   福井 隆 (惑星物理学研究室)

2 0 0 7 年度 ||||| 2015年度 || 2014年度 || 2013年度 || 2012年度 || 2011年度 || 2010年度 || 2009年度 || 2008年度 || 2006年度 || 2005年度 || 2004年度 || 2003年度 || 2002年度 || 2001年度 || 2000年度 || 1999年度 |
 日 時    話 者   題 目 講演ビデオ 講演資料
03/07(Fri)
17:00-
長嶋 剣 (東北大地学) 非接触浮遊法によるコンドリュール再現実験 -- --
01/29(Tue)
17:00-
中村 智樹 (九大地惑) "スターダスト" による彗星探査とその成果 -- --
12/19(Wed)
17:00-
井田 茂 (東工大地惑) 系外惑星系の中心星依存性 VIDEO 発表資料
10/22(Mon)
13:30-
石渡 正樹 (北大宇宙理学) 同期回転惑星の大気大循環の数値計算 VIDEO 発表資料
10/19(Fri)
18:00-
Juergen Blum
(Tech. Univ. of
Braunschweig)
The Formation of Planetesimals - The Laboratory Perspective -- --
07/27(Fri)
13:30-
原山 洋平 (Max-Planck) The IMF of the massive star-forming region NGC 3603 from NIR AO observations -- --
07/12(Thu)
17:00-
玄田 英典 (東工大地惑) 地球型惑星の形成
〜巨大天体衝突ステージにおける原始惑星の合体・非合体〜
VIDEO 発表資料
07/09(Mon)
16:30-
福江 翼 (京大宇宙物理) 系外惑星系でのトーラスの話と, 偏光に関する計算と観測の話 -- --
06/25(Mon)
16:30-
伊藤 正一 (北大自然史) 隕石年代学のターニングポイント:
CAI形成とコンドリュール形成の関係とは ?
VIDEO 発表資料

* 本セミナーは Mosir Project によって映像撮影/公開されています.

 
 
日時 : 2008/03/07(Fri) 17:00 -
場所 : 理学 8 号館コスモスタジオ (8-2-01)

話者 : 長嶋 剣 (東北大学 大学院理学研究科 地学専攻)
題目 : 非接触浮遊法によるコンドリュール再現実験

コンドリュールは宇宙空間で浮遊したメルトから形成した珪酸塩結晶球 である. そのコンドリュール形成条件を知るためにガスジェット浮遊 装置を用いた浮遊実験を開始した. その結果, 宇宙空間でメルトが結晶化 することは非常に困難なため, 星雲ダストの付着が結晶化のきっかけ として必要であることがわかった.

日時 : 2008/01/29(Tue) 16:30 -
場所 : 理学 8 号館コスモスタジオ (8-2-01)

話者 : 中村 智樹 (九州大学 大学院理学府 地球惑星科学専攻)
題目 : "スターダスト" による彗星探査とその成果

スターダスト探査機が回収したビルド 2 彗星の詳細な物質科学的研究の 成果を報告する. ビルド 2 彗星は 1978 年にスイスのベルン大学のビルト が発見した木星型短周期(周期は約 6.4 年)彗星である。回収された塵 は大部分が 10 ミクロン以下の微粒子である. 我々はひとつひとつの塵に 放射光を用いた非破壊分析, 電子およびイオンプローブを用いた元素分析, 同位体分析を行った. その結果, 粗粒結晶質の彗星塵の一部はコンドライト 隕石のコンドリュールと同様の物質であること, 細粒彗星塵は大部分が捕獲時 に溶融しているが主要元素は太陽組成を保存していることなどを見出した.

日時 : 2007/12/19(Wed) 17:00 -
場所 : 理学 8 号館コスモスタジオ (8-2-01)

話者 : 井田 茂 (東京工業大学 大学院理工学系研究科 地球惑星科学専攻)
題目 : 系外惑星系の中心星依存性

発見された系外惑星は 250 個を越え, FGK 型の主系列星が中心だった サーベイも M 型星や GK 型巨星にも広がってきた. 観測的に明らかに なってきたことは, 惑星系は, 中心星の質量 (スペクトルタイプ), 進化段階, 金属量などによって, その姿を大きく変えるということである. 系外惑星系の中心星依存性に関する観測結果, 理論モデルの現状について 報告する.

日時 : 2007/10/22(Mon) 13:30 - 15:00
場所 : 理学 8 号館コスモスタジオ (8-2-01)

話者 : 石渡 正樹 (北海道大学 大学院理学院 宇宙理学専攻)
題目 : 同期回転惑星の大気大循環の数値計算

中心星の至近距離にある惑星は, 強い潮汐力によって同期回転をしていると 考えられる. 同期回転惑星では惑星上の同じ面(昼半球)だけが中心星からの 放射を受けているため, 地球とはまったく異なる気候状態が存在するだろう と論じられている. Joshi et al. (1997)は, 大気大循環モデルを用いて同 期回転惑星の大気構造の数値計算を行ってはいるが, 二酸化炭素大気につい ての場合しか議論していない. そこで, 本研究では水蒸気を含む場合につい ての計算を行ってみた. その結果, 昼半球と夜半球の間では赤道波および 中高緯の傾圧不安定擾乱を介した熱輸送が起きることが示された.

日時 : 2007/10/19(Fri) 18:00 - 19:00
場所 : 理学 8 号館 1 階セミナー室 (8-1-03)

話者 : Juergen Blum (Institute of Geophysics and extraterrestrial physics, Technical University of Braunschweig, Germany)
題目 : The Formation of Planetesimals - The Laboratory Perspective

The formation of planetesimals, the km-sized planetary precursors, is still a puzzling process. Considerable progress has been made over the past years in the physical description of the first stages of planetesimal formation, due to extensive laboratory work. I will review the experimental achievements and put them into the context of the dust processes in protoplanetary disks. It has become clear that planetesimal formation starts with the growth of fractal dust aggregates, followed by compaction processes. As the dust-aggregate sizes increase, the mean collision velocity also increases, leading to the stalling of the growth and possibly to fragmentation, once the dust aggregates have reached decimeter sizes. A multitude of hypotheses for the further growth have been proposed, such as very sticky materials, secondary collision processes, enhanced growth at the snow line, or cumulative dust effects with gravitational instability. I will also critically review these ideas.

日時 : 2007/07/27(Fri) 13:30 - 14:30
場所 : 理学 8 号館コスモスタジオ (8-2-01)

話者 : 原山 洋介 (Max-Planck-Institut fuer extraterrestrische Physik (MPE))
題目 : The IMF of the massive star-forming region NGC 3603 from NIR AO observations

We study the initial mass function (IMF) of one of the most massive galactic star-forming regions NGC 3603 to answer a fundamental question in current astrophysics: is the IMF universal, or does it vary? Using our very deep high angular resolution JHKsL' images obtained with the adaptive optics assisted NAOS-CONICA instrument at the VLT/ESO, we have successfully revealed the low-mass stellar population down to the subsolar mass range in the core of the starburst cluster. The derived IMF of NGC 3603 is reasonably fitted by a single power-law with index of Gamma ~ −0.74 within a mass range of 0.4 − 20 Msun, substantially flatter than the standard field star IMF with Gamma ~ -1.35.
Our result thus supports the hypothesis of a potential top-heavy IMF in massive star-forming clusters and starbursts.

日時 : 2007/07/12(Thu) 17:00 - 18:30
場所 : 理学 8 号館コスモスタジオ (8-2-01)

話者 : 玄田 英典 (東京工業大学 大学院理工学系研究科 地球惑星科学専攻)
題目 : 地球型惑星の形成〜巨大天体衝突ステージにおける原始惑星の合体・非合体〜

地球型惑星形成の後半には、数十個の火星サイズの原始惑星が、 お互いに衝突合体をし、地球サイズにまで成長するという激しい ステージが存在する。このステージは、複数個の原始惑星の軌道 進化を数値計算することによって再現され、最終的に形成される 地球型惑星の特性(個数・質量・軌道、自転の方向・速度、衛星の 形成)が調べられつつある。
しかし、これまでに行われてきたすべての軌道計算では、原始惑星 同士の衝突において完全合体が仮定されてきた。つまり、原始惑星 同士が接触した場合、衝突速度や衝突角度などによらず、すぐさま 合体し質量欠損が起こらないとしてきたのである。
この仮定は、間違っていそうである。
そこで、どのような衝突条件で原始惑星同士が合体するのか、 しないのか、を明らかにするため、合計1000通りを超える流体 シミュレーションを行った。この結果をもとに、原始惑星の合体条件、 合体時・非合体時の散逸質量、コア―マントル比の変化などを 系統的に調べ、(一部)定式化に成功した。
完全合体を仮定した過去の研究で得られた衝突イベントと、本研究で わかった合体条件を照らし合わせたところ、実に約?%の衝突イベントで、 合体せずに分離してしまうことがわかった。
(?の部分はセミナーで発表します)
このような原始惑星の非完全合体が、最終的に形成される地球型惑星 の特性にどれくらい影響を与えるのかを最終的には知りたいと考えており、 本セミナーでも議論していきたいと思っている。

日時 : 2007/07/09(Mon) 16:30 - 18:00
場所 : 理学 8 号館コスモスタジオ (8-2-01)

話者 : 福江 翼 (京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室)
題目 : 系外惑星系でのトーラスの話と, 偏光に関する計算と観測の話

私は特に太陽系外惑星, 及び, 星惑星形成, 星間現象等の関連分野に興味を 持って研究や勉学に励んでいる. 今回は主に二つの話題をかいつまんでお話 したい.
ひとつは, 太陽系外惑星系での, 惑星大気の散逸に伴う, トーラスからの輝 線の特徴に関する研究に関する話である. hot Jupiter からの惑星大気散逸 は HST により, トランジット中の母星の輝線の吸収から観測されている. それら散逸後の惑星大気を輝線で観測することはできるであろうか. また, 太陽系内のイオプラズマトーラスは emission line を持つが, 多様な太陽系 外惑星系でのトーラスではどうであろうか. 本研究では, 系外惑星系での散 逸後の大気からの emission line が観測にかかった場合, どういった特徴 を示すかをモデルを用いて研究した. 他の影響よりもトーラスの速い回転速 度の影響のために, トーラスを観測するのに空間分解できなくてもよい可能 性がある.
もうひとつは, 現在進めている, 偏光まで含めた, モンテカルロ 3 次元 輻射輸送計算の話を, 赤外偏光観測の話とともに簡単にお話したい.

日時 : 2007/06/25(Mon) 16:30 - 18:00
場所 : 理学 8 号館コスモスタジオ (8-2-01)

話者 : 伊藤 正一 (北海道大学 大学院理学院 自然史科学専攻)
題目 : 隕石年代学のターニングポイント: CAI形成とコンドリュール形成の関係とは ?

初期太陽系で最初に固化した岩石であると考えられている Ca-Al-rich inclusion (CAI). その 200 万年後に固化したとされるコンドリュール. 近年, 両者の物質 の「同時形成仮説」を示唆する岩石学的, 年代学的結果が次々に示され活発な議 論がうまれている.
仮に CAI やコンドリュールの形成機構にとって複数回加熱溶融イベントが一般的 であったとしよう. 両者が同時に形成後,この複数回加熱溶融イベントを経験し たとする. このイベントによって年代がリセットされてしまった鉱物から得られ た年代からは, 最初の固化溶融イベントの年代を知ることはできない. つまり, これまでの両者の年代差とは,最初の固化イベントの年代差ではない可能性が高 いといった論点だ. 仮に同時形成が一般的であっても上記論点に注目して年代学 を展開しなければ真の年代学となりえないのかもしれない.
このように両者の形成関係は, 「隕石の年代学とは ?」という論点においてター ニングポイントになってしまう可能性が非常に高いと考えられる.
本講演では、これまでの隕石物質科学の研究から得られた細粒 CAI (凝縮起源), 粗粒CAI (溶融起源), コンドリュール (溶融起源) の岩石学的, 同位体的研究の 結果を紹介し, 幅広く年代学について概観する. そして, 最新の CAI やコンド リュール年代学の結果を紹介し, その意義や今後の課題について議論したい.

| 森羅万象学校 || Mosir Project || 惑星物理学研究室 |
| 宇宙理学専攻 || 地球流体電脳倶楽部 || WIDE School of Internet |

Copyright © 2007 sinra group All rights reserved.
This page updated on Nov. 19, 2013